離婚前提策略婚。【改訂版】
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花って感じの大和撫子だって聞いてたけど、なんかイメージ違うな」


…それってどういう意味?とてもいい意味には聞こえない。それに今の話だとわたしじゃなくてお姉ちゃんのことのような気が……


「ま、本当にそんな子が来たら困るけど。華乃さ、俺と結婚しても無駄だよ。俺、会社継ぐ気ないから。金目当てにしても社長夫人目当てにしても、どっちも叶えてあげられない」


──っ、さっきから聞いてればなんなの?!


こいつの話すこと、いちいち癇に障る!わたしがお金や社長夫人目当てだとでも思ってるの?!勝手に縁談持ちかけてきたのはそっちじゃない!

腹立つ!もうこんなやつといる必要ない!さっさと断って帰ってやる!!


「あのっ!」


とわたしが言いかけた声と、向こう側から扉をノックする音が重なった。


「失礼しま~す!お待たせいたしました!針葉樹林でーす!」


ま、またバニーちゃん?!この店、店員皆バニーちゃんなの?!
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