離婚前提策略婚。【改訂版】

龍成の浅はかさ

結婚生活も二ヶ月を過ぎ、もうすぐで半年間と言う契約も半分になるのかと思い始めた頃、事態は動き出した。

挨拶まわりも一段落し、やっと少しは休めるかと思いきや、それも思い過ごしだったと実感している。


「龍成、今回のプレゼンの感想は?」

「感想って言われても特に何も」

「あなたちゃんと聞いていたの?!何も思わないなんて!」

「いや、何も思わないということはそれだけ印象に残らないものだったということだ。俺も同感だ」

「まぁ、あなたまで…」


会議室から社長室への移動中、親子三人で歩く姿は微笑ましくも何ともない光景だ。


印象に残らないも何も、俺の場合聞いてないだけなんだけど。

華乃のやつ、朝っぱらから調子に乗ってフレンチトーストなんか作りやがって。砂糖の入れすぎで具合い悪いわ。


そもそもフレンチトーストは毎晩から仕込んで…


「今からどんな来客があろうとも部屋に誰も近づけるな」


社長室に戻ると、親父は秘書に声を掛けた。


「かしこまりました」


……なんだ?親父、何をする気だ?


疑問に思いつつ、社長室のソファーに座り込む。
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