離婚前提策略婚。【改訂版】

龍成と莉乃

「いらっしゃい、龍成さん」

「突然すみません」

「いいんですよ。ここはあなたの家でもあるんだから」

「ありがとうございます」


桜庭家に行くと華乃の母親が迎える。でも俺が今用があるのはこの人じゃない。


「あの、莉乃さんご在宅ですか?」

「莉乃?いますよ。莉乃がどうかしたの?」

「華乃のことで話があって」

「あ、そうなの…。ちょっと待って下さいね、今呼んでくるわ」

「お願いします」


少しすると華乃の母親と姉ちゃんが出てくる。


「それじゃ、龍成さんゆっくりしていってね。わたしちょっと用事で出掛けますから」

「はい。行ってらっしゃい」


好都合だ。…もしかしてこいつが…。


「行ってらっしゃい、お母さん」


華乃の姉ちゃんが笑顔で手を振ると、母親は少し首を傾げて出て行った。


─さすが、気が利くじゃねぇか。


「どうぞ上がって」

「お邪魔します」


他に誰もいない家。

この間挨拶に来たことを思い出させるリビングに通された。
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