離婚前提策略婚。【改訂版】
終わりへの始まり

華乃の幸せ

「はい、お口開けて」

「だからいらないって」

「それじゃ食べにくいだろ。人の厚意には甘えろ」

「龍成の場合なんか裏がありそうでイヤ。ていうか普通に食べれるから」


病院からマンションに帰ると、龍成は食べやすいようにとカレーを作ってくれた。

それで充分なのになぜか食べさせようとまでしてくる。完全にわたしで遊んでる。なんてヤツだ!


「裏なんかないっての。傷、乾燥してない状態で包帯巻いてるんだろ?食べにくいに決まってる」

「大丈夫だから」


そう言ってスプーンで掬おうとするもスムーズにいかない。

数回目でなんとかまともに掬い、口に運ぶ。


龍成は顔を引きつらせながらそれを見ていた。


「ん、美味しいよ!」

「…食べ終わんの、いつになるんだよ」

「慣れれば大丈夫だから気にしないで」


あ~あ。こんな時両利きだったらと切に思う。利き手が使えないのは不便すぎる。


「慣れるまでに美味いものも不味くなるだろ。つーか見ててイライラするんだよ。大人しく俺に食べさせられてろ」


向かい合っていた龍成がわたしの隣に座る。
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