離婚前提策略婚。【改訂版】

龍成のプライド

「息子の神田龍成です。これから勉強していくので、皆さんよろしくお願いします」

「よろしくお願いします」


何度目かわからない部署巡り。

麻友ちゃんの後をついて行きながら、慣れない爽やかを全面に出した笑顔のせいで顔がひきつりそうになる。


拷問のような資料の山は意外とすんなり頭に入った。


さすが俺。見た目だけじゃなく中身まで完璧。

なんて自己陶酔しながら半分程読んだところで、麻友ちゃんが戻ってきた。


時間がないから先に挨拶まわりだって、初日からこれじゃもう来る気無くすわ。

麻友ちゃんとあいつの親父の監視に明日も来るつもりでいたのに。


「こんなん社内放送のテレビかなんかで充分だろ。なんでこっちから出向かなきゃならねぇんだよ」

「初めが肝心なの。この方が好感度が上がるし、皆にすぐ顔を覚えてもらえるじゃない」


好感度って。


「そんなんする必要あるのかよ」

「当たり前でしょう!だからしてるの。少しでも味方を多くしておかないと」


おい麻友ちゃん。不用心な発言は気をつけろよ。それだと敵がいるのがバレバレだっての。
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