その唇で甘いキスをして…
パープルランジェリー
その日、お医者さんが来て注射を打ってもらって
熱は下がった。

「暖かくして、無理しないようにってさ。

だいぶ疲れてるって言ってた。

とりあえず体力つけないとな。」

ハルさんが夕方来てくれたけど
ジョウの事が心配でその夜は帰ってもらった。

カオルはあの日からこの部屋には来なくなった。

アタシは具合が良くなると
カオルと住む場所を探した。

これ以上ハルさんのマンションに居る事は許されない気がした。

ジョウには毎日逢いに行った。

夕方行ってジョウと夕飯を食べた。

ハルさんは相変わらず忙しくて
アタシはなるべくジョウと一緒に居ようと思った。

夜はまた店に戻って働いた。

カオルは夜飲みに来て
毎晩、アタシを誘った。

「今夜は一緒に泊まろう。ジュンと一緒に居たい。」

アタシは何日もこの誘いを断ってる。

でもその夜はカオルの誕生日で
アタシはカオルといっしょにホテルに泊まった。

ハルさんと泊まる部屋とは全然違う、
派手な外観のラブホテルで
カオルの誕生日を祝った。

アタシはカオルに似合いそうなコートをプレゼントした。

カオルがそれを羽織って見せる。

「カッコいいね。」

カオルはモデル並みの容姿で完璧にそれを着こなす。

その容姿があればカオルはアタシなんかよりもっと良い女がいくらでもいるのに…と思った。



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