その唇で甘いキスをして…
それぞれの思惑
カオルが退院する日がやってきた。

ギブスが取れなくてまだ1人では不便な為、
ハルさんはカオルをギブスが取れるまで家で看病しようと言った。

アタシは心配だったからそうしたかったけど
ハルさんの本心がわからなくて
なんだか怖かった。

常に家にカオルがいることも
ハルさんのカオルの前での態度も
全てが怖かった。

カオルは断りもせずにウチにやって来た。

アタシは日中カフェの仕事があるので
ハルさんはヘルパーさんを雇って
カオルの介添えをさせることにした。

夜はハルさんが帰るまで
ヘルパーさんに居てもらった。

ジョウはカオルが大好きだから喜んでいる。

それでもハルさんが帰って来ると
ジョウはカオルの元を離れてハルさんに抱きついた。

「パパ、おかえり。」

「ただいま、ジョウ、宿題は終わったか?」

「うん。」

カオルはその姿をみて言った。

「ハルキさんは俺が欲しいものぜんぶ持ってくな。」

そしてハルさんに見えないように
アタシの手を握った。

アタシはその手をハルさんにわからないように振り払った。



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