JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
「っ、今から帰るとこ。

あ、帰りに買い物して帰るけど、今日はなに食べたい?」


「え、マジでっ?
じゃあ…
さっきお客さんと話して食べたくなった酢豚っ!」


酢豚!?

よりにもよって、そんな難しそうで手のかかりそうなものを…


「…わかった。
けどあんまり期待しないで?」

先に断っておくと。

ふはっと、響の柔らかな笑声が鼓膜に溶け込む。


「ほんとは何でもいいよっ?
俺、憧子さんの料理なら何でも嬉しいっ」

不安を悟られたのか、そう気遣われる。


その時。



「響~っ?
ごめ~ん、ちょっと手伝ってぇ?」

電話の向こうから、女性スタッフらしき人の声がした。


ちひろさんならともかく。
その甘ったるい呼び捨ては不快に感じて…

「ごめん、ちょっと待って」と、2人が会話をしている間。


ふと。

響は私が秀人から呼び捨てされてるのを何も感じないのだろうか?
なんてよぎったけど。

一真と違って両思いじゃないんだし…
気にもしないかと思い流す。
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