JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
それから…

2週間近くが過ぎた、ある日の夕食。


その日は酢豚だったから、それを口にしながら…

響に食べさせてあげたい気持ちが膨らんで、箸を止めて壁時計を見つめた。


だけど7・8月はまた繁忙期らしく、そこにオープンしたての忙しさも合わさって…
今日も遅くまで働くのだろう。


復職が決まった私も、休みの日はさっそくアシスタントを手伝ったり、その勉強に明けくれてて…

会えるのは響が休みの日に、私の仕事が終わってからの数時間だけ。


さらに休日も当分は週1のようで、新店舗は第3日曜日も休みじゃない。

それでも、会えるだけ幸せなんだろうけど…



「…響くんと、また一緒に暮らしたい?」

そんな私を見かねてか、母さんの思わぬひと言。


響は先週の休日、ここに来てくれたのだ。



その人は自己紹介と交際の報告をすると、何の前触れもなく。

「今までご挨拶もせずに、憧子さんをお預かりしたままで…
多大なご心配をお掛けして、本当にすみませんでした」と、両親に深々と頭を下げた。


当然私は驚いて、響は何も悪くないとフォローを入れるも…
そんな必要もなく。

その誠実な態度と、私をここまで立ち直らせてくれたという状況に、親は感謝で受け入れてくれた。
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