JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
だけど。


いつも私を撫でてくれてたその手は…
どんなに泣いても、もう慰めてはくれないのだ。




それでもまた、次の動画を開いた。



『えーただいま、例の天主堂に来ています。
憧子が行きたがってた場所なのに、出張とはいえ俺だけ来ちゃってごめんなさい!

ではさっそく、映像だけでもお楽しみ下さいっ』


外光を透したステンドグラスが…
煌びやかで神々しい翳りを、堂内に落としてる。



『どぉ?
綺麗だろっ。

昨日電話で寂しいって拗ねてたけど、少しは気が紛れた?
後で写メも送りまーす!

でも、今度は一緒に来ようなっ』

そう笑う…

この爽やかで陽だまりみたいな笑顔が大好きだった。



『あと、提案なんだけどさ。

俺達お互い忙しいし、一級建築士取ったら出来る事も増えて、これからも寂しい思いをいっぱいさせると思うんだ…

だから提案なんだけど。あっ、また言っちゃった』

そんなところも愛おしい。
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