ifの奇跡
奇跡
冬吾に全てを打ち明けたあの日から…半年が経った。

相変わらず、仕事は忙しい。

だけど毎日が楽しかった。

自分の足で立ってる…生きてるという実感があった。


仕事を終えてスーパーで食材を買い込み家に帰った。

予定より少しだけ遅くなってしまった帰宅に、着替えもせずにそのまま台所に立った。

平日は忙しい上に独り暮らしでサボりがちになる料理も、週末には気合が入って色とりどりのおかずが食卓に並べられる。

今日は時間が足りなくて、メニューはいたって簡単になったけど…。


どうにか今日も彼が来るまでに完成できた。

お風呂の準備もOKだし、あとは彼が来るのを待つだけ。


鏡に映った自分の顔を見て、メイクと少し乱れたヘアをなおす。

伸びてきた前髪を指で挟んで持ち上げると、両方の眉が綺麗に丸見えになった。

久しぶりに前髪でも作ったら、もう少し若く見えるだろうか？そんなことを考えていたらピンポーンと玄関のベルが聞こえた。

ドアを開け、笑顔で彼を迎える。


「お疲れ様、冬吾。」


彼は玄関の中に足を踏み入れ後ろ手でドアを閉めると、そのまま私を引き寄せその腕の中に抱きしめた。


「はぁ、やっと莉子に会えた…。ちょっと充電させて」
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