ラブ×コントロール


私が動けずにいると…


「咲原さん」


「あっ…水内くん?」


振り返ると、水内くんが立っていた。


「…ビックリしたぁ、どうしたの?」


「咲原さんが見えたんで、話しかけようと思ったら、君と一緒に話を聞いてしまったんだよね」


「あっ…」


水内くんにも聞こえてたんだ…。


どうしよう…とりあえずいつも通りに。


「あっ、マジでムカつくねアイツっ、後で絞めとかないとねっ…それじゃ」


水内くんにそう言って、私がその場を離れようとすると、


「咲原さん、大丈夫?」


「…何が?」


「やっぱり僕の言った通りだったでしょ?“彼は君を傷つける”ってね?」


「別に…そんなんじゃっ」


私は水内くんの顔を見れず、それだけ答えると先に教室に戻った。



< 108 / 364 >

この作品をシェア

pagetop