ラブ×コントロール


そこがカイの居場所だから…?


私は勝手にそう思っていた。


水内くんにちゃんと話してから、少しカイとの距離が縮まった気がしていたのに、また簡単に離された気がする。


変わらないカイを見ても、周りの景色はとても二年前とは違う。


やっぱり次の一歩は遠いよ…なかなか踏み出せない。


ちゃんと伝えるって決めたのに…。

ーー

そして放課後。


野球部が部活をしているグラウンドを横切りながら私が帰ろうとすると、


ギャラリーとは離れた所に、何となく見覚えのある人が立っていた。


確かあの人は…?


私はその人に近づいて声をかけてみた。


「偵察ですか?」


するとその人は、少し驚いて振り返った。


「えっ…?あ~本道の彼女のっ」


そこにいたのは、杉崎高のピッチャーの野々村くんだった。


野々村くんは私を指差してそう言ってきたので、私はその指を下ろした。


「違いますっ!」


「へぇ~」


“へぇ~”ってどんな意味だ?


「どうしてここに?杉崎高からは駅何個分ですか?」



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