テストプレイ
「…きゅ、急にだったから、びっくりして…かな?」


本当のことなんか言えるわけ無いから、かなり強引な理由になってしまう。
リヒトにドキドキした、なんて言ってしまえば「なんでドキドキしたの?」って聞かれてしまう。そう思ったから。
そう聞かれて答えるなんて、酷過ぎる。


「なるほど…
人間は急に何かをされると心拍数がこんなにも上がるんだ…
次からはちゃんと確認をとってからするよ。

「うん。」


…うん?!今サラッと凄いことを言われたような…

思わずリヒトの顔を凝視する。


「何?僕の顔がどうかした?」

「え、あ…なんでもない。」


無自覚って怖い…

私は結局違うと言えずに当たり前じゃないこの状況を受け入れるしかなくなり、繋がれた手を握り返した。

そして、いつしか話題は水族館の話になり、およそ50分のという時間はあっという間に過ぎていった。
チケットを買い、パンフレットを貰って敷地内に入る。

初めてくる水族館だからか、私は少しテンションが上がっていた。
リヒトは…そう思い、顔を覗き込むと普段と変わらない無表情。

…今日は絶対その無表情を崩してやる!

そう意気込んでパンフレットを開く。
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