よくばりな恋 〜sweet sweet Valentine〜


頼りない小さな翠の身体を思い切り抱き締める。


「アホか」


「は?」


「チョコが苦手ってホンマに見るんもイヤやったら最初っからお前に言うてる」


翠が腕の中でピクリと身体を震わせた。
一旦身体を離して頤に指をかけて上に向かせ、貪るように口付けてすぐに舌を翠の口に入れる。

さんざん翠の口中を嬲ってやる。

息苦しそうなのに止めることを許してやれない。

力が入っていた翠が弛緩した身体をオレの胸に預けてきた。

漸くキスから解放してやる。


「翠から貰うものやったら嫌いなものでも何でも喜んで貰ってやる。変に気を回したりせんでええ」

そう言うと翠の手の中の箱からチョコを一つ取り上げて口に入れた。

口から鼻に抜けるラムの香り。チョコはほんのりビター。オレの為に頑張って作ってくれたのが容易に解る。


「さて、オレを煽った責任取って貰おか」

翠を抱き上げて寝室へと歩いて行く。


「煽っ・・・・・!?か、海斗さん!?」


真っ赤になって慌てる翠。
可愛すぎて食ってしまいたくなる。


未だに恋人同士のアレコレに慣れなくて、それでも少ない経験値から精一杯愛情を返してくれるお前が好きだよ。

お前が知らないことは何もかも全部オレが教えてやるから。

来年も再来年もその先もずっと一緒に居ようなーーーー。


ベッドの中で囁いた言葉は翠の耳に届いただろうか。



ぽろりと翠の目尻から落ちた水滴。

それがきっと聞こえていた証拠。



きっと翠の答えーーーーーー。



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