なにがどうしてこうなった!?

「そっか、わかった。
でも、あんまあの人の事困らせないでね。
あれでも繊細な方なんで」


そう言うと、亮くんは嬉しそうに

「裕ちゃんも相変わらず優しいね」

と言った。


「そりゃどうも」

なんだか、照れくさくて素っ気なく返事をした。

“も”ってことは姉ちゃんにもそうだと感じたんだろう。

そりゃそうか、弟の俺から見ても姉ちゃんの性格は変わってないと思う。

……特に困った人を見るとほっとけない所とか。

それでこの前も危ない目にあったらしい。


まずは自分を大切にしなきゃ守れるものも守れないのに……。


自分を大切にしろって言ってもあの人は変わらないんだろう。

亮くんとの思い出をいつまでも大切に、大事に抱えながら。

さっさとお互い素直になればいいのに。

姉ちゃんは素直になると言うよりも自分の気持ちにさっさと気づけって感じだな。

引越しする前の“優しい“だけではなくなった、目の前の男には姉ちゃんの心の変化は少しは見えているらしい。

まぁ2人のことをこれ以上聞くのはよそうかな。

これ以上聞いてしまうのは本当に野暮になってしまう。


それから、俺たちは20分ほどのコースを、亮くんが引越し先でどういう生活を送っていたのかを聞きながら歩きコテージに帰った。
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