一匹少女が落ちるまで


「そうだったんだ…ごめん。俺、新山さんの気持ちにほんとに気付けなくて。紫月と話せなくなってしまってたことばかり考えていたから」


────っ!


そんなことを言われたら


喜んでしまう。


心よりも、私のことを考えてくれたんだって。


すごくひどい。


「紫月は…俺のこと、少しでも考えなかった?」


たくさん考えた。

人生初めて、寝られなくなるほど。


この気持ちの正体がわからなくて


なんだかイライラして


初めての気持ちになって。


「……少しは」


私が小さくそう言うと



「そっか」


理央はそう言って私の頬に手を伸ばした。


「じゃあ、もっと考えて」


彼はそう言うと、


またさらに私の方に顔を近づけてきて



─────っ?!


「────っ!」


私の唇を塞いだ。



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