島…君をレンタルしたいカナ
別に声フェチだった訳じゃないけど、でも、あの人の声はやけに胸に響いてくる。

最初の出会いが最悪な日だったから?
ズタボロに傷付いてた分、忘れられないだけ?


誰かを好きになるなんて暫く止そうと思ってたのに、何だか知らないうちに彼のことが気になってる。


「ああもう、どうするのよ。こんなの貰ってきて」


胸にしっかりと抱きしめてたパンフレットを引き離して見つめる。
しがないパートの身分で働く私は、未だに実家暮らしのままだと言うのに。


「それなのに動物飼いたいとか言ったら怒られそう」


自分の食い扶持も稼げてないのに…とか言われちゃいそうだな。
残念だけど、お店に行っても眺めるだけになりそうだ。


「でも、遊びがてら見に来てもいいと言ったよね?!」


都合のいいところだけよく覚えてる。
それなら明日もひょっこり見に行ってみよう。


「また話しかけられたらどうしよう」


きゃー…と一人で妄想に浸ってしまった。

メガネ店長さんとの四度目の出会いは、やけにリアルなものになったーーー。



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