嘘つきな婚約者


父親に相談すると、良さんに建築家として意見を求めるように言われた。

良さんに連絡をすると、午後2時頃来てもらえることに。

ライブから、実に3週間ぶりに会える。

久しぶりだからか、私は、そわそわしながら、2時になるのを待っていた。



良さんは、いつもの良さんだった。

まるで、ライブの良さんは、夢だったのではと、思えるくらいだ。

私の問題について、聞いた良さんは、

「そんなに先のことまで心配して考えられるのは、さすがだね。」

「えっ、だって、何年後かわからないけど、大がかりな修理が発生するかも知れないと思うと、安心して依頼人に引き渡せないでしょ。違う?」

「嬉しいよ。恵都さんのプロ意識が高いことがわかって。」

そう言われた瞬間、心の底から、彼のことが好きだと自覚した。

彼は私を理解しようと、真摯に向かい合ってくれていると感じた。

彼なら信じても大丈夫だと。
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