熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~

千紗が、大きな目で
まっすぐ見つめて言う。

「それで?ファイサルは、何て言ってるの?」

私は、少々ためらって言う。

「約束通り、結婚しようって」

ただでさえ、でっかい目が
さらに大きくなった。

「約束?そんなの、いつしたのよ」
「6年前」
「じゃあ、あの頃に?」
「そう」

初めて言われたのは、そう。その頃だ。
真面目に考えたのは、
それよりずっと後だけど。

「約束を果たしに来たって、
何で今頃になって遅すぎるわね」

千紗がいろんなことを思い出していう。

「ん、私もどうして6年も
経って今さらなのか、よくわからない。
何かあったのかな。千紗知ってる?」

ファイサルは、
また戻ってくるっていう期間を、
いったい何年だと思ってるのだろう。

国によって思い描いた期間が、
少し違うのかもしれない。

「私のような日本人だと、
6年って結構長いんだけれど、
アラブ人にとっては、そうではないのかも」

「あのね、何でそんなに、
のん気なのよ。そんなわけないでしょ?
二十代の貴重な時間、
ずっと待って過ごすなんて、おかしいわよ」

「うん……」
「それより、美夜は、
彼から何も説明されてないの?

ファイサルの立場だと、
一般人のようには行かないでしょう?」

ファイサルが、手広く事業をしてて
忙しいというのは分かってる。
それに、彼の立場も
複雑だってことも知っている。

「どういうこと?」
でも、6年放置する理由にはならない。
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