熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
熱砂の国で
「私の国は、日本のように
安定した国ではなかった。

小さな国で、絶えずいろんな
圧力や危機にさらされている。

残念ながら、それは今でも。

私の祖先はね、
アラブの大国や欧米の支配から、
外交努力で上手く大国の支配を乗り切って来たんだ。

国民をシークという
部族の長がずっと束ねて来たんだ」

「うん」

私が彼にキスしようとしたのを、
彼は止めた。

キスが嫌なんじゃないよ、と言って。


「ごめん、もう少し
話をしてもいいかな。
もっと、顔をよく見せて美夜」

「ええ」


「私の母親は君と同じ日本人だった。

私が生まれた時は、
私の祖父が国王の座についていた。

ビジャールは王政を取っているんだ。
私の曽祖父も、
国王として国を治めていたんだ。

私の父は、国王の息子として生まれたけれど、
何人かいる王の息子の一人で、
全然跡取りではなかった。

跡取りの第一皇子には、
もっと年配の別の王子が決まっていた」

「そうだったの」

「父は国王になるつもりもなく、
ビジネスに力を入れた。
国を豊かにしようと思ってたからね。

それは、私も、同じ意見だった。

石油資源に恵まれない、
農業資源にも恵まれなかった国を
存続させるのは、経済を発展させるしかない。

父は、外国から投資を呼んだ。
日本からも経済協力を受けて、
道路網の調査や、港湾を調査して、
港を整備したんだ。

そこで、日本から来ていた母と知り合った」


「王位を継ぐつもりもなく、
自由に行動できていた。王族として、
表に立って政府の仕事もしてたんだ。

国の経済発展に尽くしていた父は、
日本人の母と出会って結婚した。

母は、教師としてビジャールに
やって来たんだ。

日本からの援助で学校が建ち、
文化交流の一環で、
若い日本人の女性が教師としてやって来た」
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