熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「どうして?」

私は、一呼吸おいてから話した。

「民主化運動が、
アラビア半島にまで押し寄せて、
各地でデモが起こったの。

労働環境を良くしようとか、
国の政策や制度を改善しようって
スローガンを抱えて。

ビジャールの国の南の方でデモが起こったの。
それが無視できない、大きさになって行ったの」

「民主化運動?」
「中東の小さな国も、
無関係ではいられなくなったの」

「アフリカの方は、
ずっと報道されてたけどね」

「ビジャールは小さな国だから、
そこで起こったことは、
日本まで伝わってこなかった」

いろいろ探して見ても、
日本語に記事は何も見つからなかった。


「そうか。じゃあ、
それで慌てて帰らなきゃいけなくなったんだ。

何しろ、第一王子様だろう?彼は」

「その時は、第一王子じゃなかったの」

「違うの?だって、
今は、彼のお父さんが国王だろう?」

「今はそうですけど。
6年前は違ってた。
だから、外国人と結婚しようなんて
ファイサルも言えたのよ。

ファイサルの地位は、
彼のお母さんが外国人だったから、
そんなに高くはなかったの。

彼は、
国王になる気は、まったくなかった。

ビジネスをして国を良くしようと考えてた」

「それが、どうして?第一王子に?」

「クーデターが起こったの。
そのクーデターが、
ファイサルの人生を変えてしまったの」
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