レンタル彼氏–恋策–
2 去り際のセリフ

 彼氏以外の男と二人で出かけるなんて考えられない。心からそう思ってた過去の自分が、今となってはとても純粋だと感じる。

 私は今、地元の駅前でレンタル彼氏なる人物が来るのを待っている。

 本来、レンタル彼氏を利用する女性は、彼らのプロフィール一覧を見て好きなタレントを選べるらしいけど、今回の場合は別。心晴(こはる)からの誕生日プレゼントなので、彼女が独自に私に合いそうなタレントを選び、今日の待ち合わせも取り付けてくれたというわけだ。

 心晴の好意にはとても感謝しているし、恋愛に悩む私を思いやってくれる彼女の心遣いも嬉しかった。

 でも、同じくらい不安もある。どういう人が来るのかも分からないし、良く知らない相手と二人きりにされたって会話につまりそうだからだ。

『大丈夫!そんな心配しなくても!彼なら、ひなたのこと安心させてくれるから』

 ここへ来る前、大学で心晴に言われたことを思い出す。そうだよね。相手はプロのレンタル彼氏だもん。きっと楽しませてくれるはず。せっかく心晴がくれたプレゼントなのに不安になるなんてもったいない。

 そう思う一方で、交際中の優(ゆう)に対して申し訳ない気持ちにもなった。

 今日、レンタル彼氏と遊んだら、優との関係に変化が起きたりするのかな?
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