愛され系男子のあざとい誘惑
改めて読み直すとそんなことが書かれていた。中華粥。一気にお腹が空いてきて赤茶の椅子に座った。湯気が上がった熱々の中華粥。

ネギと麩のようなものが乗っている。それをレンゲで少しだけすくって口に入れた。


「あ、あつっ。で、でもすごく美味しい」


だしがきいていて海老や貝柱などが入っている。お粥なのに、とても贅沢品。それに優しい味付けで胃が満たされているような気分。


昨日は軽くカプレーゼを食べただけだったから、どんどんと食がすすむ。一口食べるとまた次が欲しくなってあっという間に完食してしまった。


「ごちそうさまでした」


お腹も満たされたし、まだ少し二日酔いは残っているけれど、私にはやらなくてはいけないことがある。


ウィッグを外し、とりあえずまずはシャワーをしようと洗面所に行き、鏡を見た。そしてそこで初めてイヤリングが片方だけないことに気づいた。


「どうしよう。どこで落としたんだろう」


部屋の中を必死で探すも見当たらない。京香に借りた大切なイヤリングなのに。シャワーを浴びたかったけれどまずは探すのが先。


どうせこの後は向かおうと思っていたMoon Mirrorに先に行くことに決めた。
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