スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
買い物カゴを持ってくれている亮平さんは、私が食材を選ぶ姿を見てクスッと笑った。

「眉間にシワが寄るくらい、真剣に見てるのか」

「当たり前です。亮平さんに作るんですよ?」

絶対においしいご飯を作りたい。気合い十分で見ていると、販売促進をしている三十代くらいの女性が声をかけてきた。

「奥様、ご試食いかがですか?」

「えっ⁉︎」

ベージュのエプロンをつけた優しそうなその女性は、小さなカップを手にしている。

どうやら、酢の入った健康飲料らしく、亮平さんにも目を向けて、同じく差し出した。

「ご主人もどうぞ」

私たちを夫婦だと勘違いしているようで、ニコニコとカップを差し出す。

すると、亮平さんは感じよく「じゃあいただこうかな」と手を伸ばした。

“奥様”と呼ばれて、動揺した私と違い、亮平さんは人前で見せるクールな姿が健在で、ひとり照れくさくなってくる。

「あ、けっこうおいしいな。実和子は貰わないのか?」

「え? あ、じゃあいただきます」
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