スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
なぜ、結婚なんて話になっているんだろう。不安が押し寄せてきて、心臓がバクバクする。

「萌ちゃん、将来的にはどちらかと政略結婚するみたいですよ? まあ、本命は橘さんかなぁ。萌ちゃん、橘さんが好きなんで」

「え……?」

言葉が続かず絶句していると、「中崎店長ー!」という店員さんの呼ぶ声が聞こえ、彼女は行ってしまった。

しばらくその場で呆然と立ち尽くしていた私は、頭の中を整理するだけで精一杯だ。

萌さんとは、この浅井百貨店の社長令嬢で、亮平さんや貴也さんの幼なじみ。そして、いずれはふたりのどちらかと政略結婚をする……?

しかも、萌さんは亮平さんが好き。そして、亮平さんは寝言で萌さんの名前を口にするーー。

「いったい、どうなっているの?」

フラフラと頼りない足取りで、なんとかオフィスに戻った。仕事を再開しなければと思うのに、気分が乗り切らない。

今夜も亮平さんのマンションへ行くつもりだったけど、いつもと同じでいられるか自信がなかった……。
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