いつも、雨
「マイナーチェンジされたのねえ。……天神さんの御守りは、変わってなくってよ。」


「いいんじゃないですか?我々も、すっかり変わりました。……あの頃、俺は、最初から諦めていました。……結局、領子さまが嫁がれるのを阻止することはできず……離れ離れになってしまった。でも、今は、先ほどプロポーズを断られたばかりだというのに、少しも悲観的じゃないんです。領子さまは、俺のものだ、と……確信してるんです。……図々しいですか?」


要人の言葉に、領子は涙を浮かべて、何度もうなずき、最後はぶるぶると首を横に振った。


「わたくしも、同じ気持ちです。ごめんなさい。……不自然ですよね、こんなの。……でも……竹原が好き。……たぶん、死ぬとき、最後に想うのは、娘でも、主人でもなく、竹原ですわ。」


精一杯の愛の言葉だった。



領子の想いに、要人の欲が動き出す……。



「……せめて、ホテルに着くまで……煽らないでいただきたかったのですが……すみません、限界です。」

「え?え?あら……そんな……」


あれよあれよというまに、領子は要人に掻き抱かれ、むさぼるように唇を重ね……、裾を割られて、まさぐられていた。


当然のように濡れているのを要人の指で確認され、領子は身をよじった。


「……ね。待って。……ここじゃ、……苦しいわ。……お願い。落ち着いて。……時間は、気にしなくてけっこうですから。ね?」




……泊まれる、ということか?


さすがに、驚いた。


しかし、要人は、昨夜の一夫に対する腹立ちを思い出した。

「……そうですね。今夜は、帰しません。一緒に朝を迎えましょう。……お泊まりも、ずいぶん、久しぶりですね……。」


おそらく、一夫は、領子がこのまま帰って来ないかと心配して一睡も眠れないだろう。


かわいそうだが……許せ。


今夜だけは、互いの立場も、家族も忘れて、2人だけで過ごしたい……。

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