君の声が、僕を呼ぶまで
学校の敷地の端っこに追いやられたようにあるテニスコートは、今や整備すらされる事なく、ほとんど砂利のようなものだ。

人数が少なくなり、廃れてしまったクラブに、敷地が与えられているだけでも感謝しなければならないのかもしれない。


「あーあ、せっかく拾ったのに、桜子ってばドジ」

沙羅がクスクス笑う。


「俺も沙羅に賛成。今の驚いた声も凄かったし」

つられて冬島先輩も笑う。


「おーい、信吾も佐藤も、手空いてんだろ?植木さんを手伝ってやれよ」


…あ、また……


込み上げてくる苛立ち。

バカにされて笑われているからじゃない。
< 11 / 389 >

この作品をシェア

pagetop