君の声が、僕を呼ぶまで
「わぁ、見て見て!青空に桜のピンク色が映えて綺麗だねー」

「あ、ほんと…」


「桜子って名前も綺麗だよね。私好きだなぁ」

沙羅が、ニコっと笑いながら言う。


名前がどうこうだなんて、何も知らない沙羅が突然言うもんだから、ギクリと心臓に冷や汗が垂れるのを感じた。


「ん、どうしたの?」

「ううん、何でもない、ありがと…」


きっと考え込んでいて、顔が強張っていたんだろう。

沙羅はこういう気遣いが自然と出来る。

女の子から見ても、とてもいい子。


「ほんとだ、植木さんの名前、この季節にピッタリだね」

沙羅の隣で、冬島先輩も優しい声で言う。
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