君の声が、僕を呼ぶまで
私は、卒業を前に、お母さんと一緒に、何度か中学へ足を運んだ。


学校に近付くだけで、息が上がる。

心臓がバクバクする。


お母さんが担任の先生と話し合いを重ねてくれたけど、当の本人、つまり私の声が戻らない事には、どれもこれも文字通り、夢物語という現実が浮き彫りになってくるだけだった。


担任の先生は、それなりに責任と負い目を感じていたようで、真剣に相談に乗ってくれた。


先生が悪いワケじゃない。

いや、先生だけが悪いワケじゃない。

もしかしたら、こうなる事は防げたのかもしれない。


だけど、先生だけを恨むのは、違う気がした。

恨むべき相手はもっと他にいる。
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