君の声が、僕を呼ぶまで
そこに安心感と居場所を求める事に、さほど抵抗はない。

相手の本当の名前も、顔も、声も知らない。


電子信号によって羅列されて組み合わされた、画面に写る文字という記号は、確かに無機質だと思う時もある。



でも、僕は知っている。

名前、顔、声を知っているからこそ、相手からダイレクトに伝わってくる感情が、暖かいものばかりではないという事を。



逃げてるんじゃない。

リアルでだって、それなりに上手く立ち回れるよう努力してるつもりだ。

相手と居場所を使い分けてるだけ。



誰へともなく言い訳がましい事を考える僕。

すると、グルグル巡る思考を呼び戻すように、ポーンと音が鳴った。
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