君の声が、僕を呼ぶまで
苛めの輪は広がりきると、次は中身がエスカレートしていった。

毎日、えげつない暴言の雨が降り注ぐ。


幼稚な言葉なのに、幼稚な悪戯なのに、だからこそ単純すぎて、分かりやすい。

これ以上ないくらいに、誰にだって使える言葉。

これ以上ないくらいに、誰にだって出来る悪戯。


苛めに使う言動なんて、いっぱい勉強してすごい会社に入ってなくたって、皆、自然と知っている。

だから、誰だって被害者になりえるし、誰だって加害者になりえる。

でも、『だから』だなんて、最大の言い訳で、最低な自己弁護。


黒板に貼られた、私と智秋の、小学校の時の写真。

あぁ、運動会の時に撮ったんだっけ。

懐かしいな。

思い出を汚されたとか、そういうのじゃなくて。

多分、恥ずかしいって気持ちは大いにあったと思う。


でも、智秋があんなふうに苛められてなかったら、私は、智秋の手を払いのけなかったかもしれない。

智秋と一緒に、からかうクラスの男子に怒ってたかもしれない。


あの時、私は、自分が智秋と同じ被害者になりたくなくて、加害者になる事を選んだんだ。


それが、私の、最大にして最低な、第三の罪。
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