君の声が、僕を呼ぶまで
「そう、俺が泣き続けて、桜子にはずいぶん心配かけちゃったよなぁ」


「泣いて…あっ、華と相川さん!」

あまりの展開に、本来の目的を忘れかけていたけど、冬島先輩が思い出して叫んだ。

「先生、華と相川さんが…!」

「何、喧嘩でもしたの?」


「そうじゃなくて…先生から華に言ってやって欲しい事が…今なら追いかけて間に合うだろうから…!」

冬島先輩は必死に訴えた。


「…そんな事言って、俺を追い出して桜子と続きをしようってんだろ? 俺はあの日からずっと、桜子がいるから生きてこれたんだ。それ以上に大事なものなんて…」


その言葉に私は、悲しみのような、怒りのような、憐みのような、とにかく、いろんな感情の塊が、一気に爆発した。

「雪兄ぃのバカ!!」


無理矢理、腕から抜け出して、正面から思いっきり雪兄ぃの頬を引っ叩いた。
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