君の声が、僕を呼ぶまで
どこかで間違って絡まってしまった糸が、緩やかに解けていくのを感じた。

いつから、どこから、何に何の代わりを求めていったんだろう。


空は死んだ。

空の面影を残している桜子は、俺が泣き止んだ時に、空の代わりを終えた。

だけど、いなくならずに、ずっといてくれた。

それが、どれだけ、当たり前で、幸せな事かを忘れていた。


俺は空の代わりに、保健医になった。

空の代わりに、学校に来れない子達を励まして、側にいて支えてあげたいと思って。


山崎さんと、小春ちゃんを、支えてあげたかった。

でも、2人は空じゃない。


俺の世界は、いつから、全てを、空というフィルターを通してしか何も存在しなくなっていたんだろう。


桜子、ごめん。

山崎さん、ごめん。

小春ちゃん、ごめん。


…空、ごめんな。
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