おみくじは当たらない
ここの神社には手水の作法についての案内板が無い。

あたしは慣れているため、いつも通りにお清めを行った。

右手で柄杓を持ち、左手を洗う。
左手に柄杓を持ち替え、右手を洗う。
また右手に持ち替え口をゆすぎ、ゆすいだ手を洗う。
最後残った水で柄杓を立てて柄の部分を洗う。
そして、そっと柄杓を戻す。

これを一度に掬った水で行う。

ふと隣りの彼が視界に入った。
何度も水を柄杓で掬い、手を洗っている。

びっくりした。
わからないなら、あたしに訊けばいい。
もしくはやり方を見て真似ればいい。


「何度も掬ったりしないんだよ」


そう言ってあたしは、口に出しながら動作を教える。
真似て一緒にやるかもしくは、もう一度やり直すのかと思えばそんなことは無くて。
彼は柄杓を置いた。

それから、参拝をした。
参拝方法は案内板があり、彼はそれを眺めていた。
一瞬、漢字読めるのか?
これも教えたほうがいいのか?
と思ってしまった。

あたしの中で、彼はそれくらい【出来ない人】という印象がついたのだ。
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