幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!

にこにこと笑うお兄ちゃんは、温厚で知的で優しそうな葵くんのパパの顔をしている。
しているのに、瞳さんも私もたらりと汗が出る。

「ひとつ屋根の下、二人で葵を面倒見てくれていたらしいな」
「そのこと、なんだけど」
「分かってる。美結は優しいし面倒見もいいし、強引で大きくて巨大な飛駒を拒否できなかったぐらい分かってる。電話してきて良いぞ」

確かに私はちんまりしているけど、飛駒は力づくで云々なんてことは一切ないというのに、お兄ちゃんはシスコンシェルダ―越しに、ちくちくと攻撃してくる。

「なぁんてな。可愛い妹が行き遅れても困るから、過保護になるつもりはないよ。なー葵」
「お兄ちゃん」

「だが飛駒はなあ。まあ、なあ」

「にいにがどうしたの?」

不思議そうに首を傾げる葵くんに対して、完璧なパパの顔は崩さない。
ここで私が飛駒の事を何と言っても逆効果でしかないのは明白だった。

「じゃあ、電話する」

残る問題は、お兄ちゃんだったことを思い出し電話をかける手が情けなくも震えていた。
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