【溺愛症候群】



「……楽、しようとするな?」

「……ばれたか」


 ちぇー、と言いながら唇を尖らせる智と肩を組むように腕をかけ、


「俺の席とっといてくれるなら、許す」


 と、耳元で囁いた。


「ん、とっとくとっとく。じゃっ、食後に部屋に集合ってことで」


 現金なもので、智はそう言って人の中に消えてしまった。


 頼まれると断れないこの性格、直らないかな。

 ふぅ、と息を吐いて、目当ての人物たちを探すことにした。




< 108 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop