【溺愛症候群】

1-6 刺激と眠さの、灰。




 大学生というのは、思っていたよりも自由じゃないらしい。


 自由に組める時間割は、意外に制約が多い。

 なんだかんだ言って取れる授業の幅は狭く、様々な授業で入学式で見掛けた顔ばかりを目撃した。


 勿論同じ班の人たちの顔も、幾度も見掛けた。

 教室や教授が変わっていっても代わり映えのない顔触れに、高校を思い出す。



「─────というようになっているんですね」


 穏やかな話し方をする老教授の声に、目蓋がゆるりと下がる。




< 40 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop