【溺愛症候群】

1-7 近づく、紫。




 シャーペンのノック部分を、脇腹にめりこませる。


「ぅお」


 めりこまされた智は、変な声をあげて体をびくりとさせた。


 まだ起きない、か。


 講義はとっくに終わって今は昼休みで。

 周りは呑気に弁当を広げたりパンをかじったりしている。


「榊くん、そっちの坂城くんまだ起きないの?」


 片付けている途中のチィがやってきて、物珍しそうに智を覗き込む。




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