【溺愛症候群】
2.沈

2-8 壁のある、漆黒。




 空を見上げれば、雲一つ見えない快晴。

 普通ならば絶好の遠足日和とでも言いたいところだが、今から行くのはホテルに缶詰する研修旅行だ。

 こんな快晴の日をあえて無駄にするなんて、世の中間違ってる気がする。


「ハユはそこの席な」


 班長である智が仕切って座席に振り分けられる班員たち。

 俺は智が陣取っている席のすぐ後ろで、周囲を見るとどうも異性同士で席に座るらしい。

 きっとこの教授のことだから、おおかた出席番号順に振り分けたのだろう。


 片道2.5時間。

 親睦を深めろ、ということか。




< 67 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop