【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
20.妖姿媚態[ベリーズカフェ限定]



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──それは、12月に入ってすぐのこと。

千瀬パパは師走に入ってからどんな仕事が待ってるのかはわからないけれど慌ただしくなっているようで、ここ数週間会ってない。



そして年末年始に旅行に行く人が増えることが関係しているのかどうなのか。

わたしのお父さんもここしばらく見ていない。



そんなとある日のことである。



「莉胡と千瀬くん。

今週の土日ふたりで過ごしてくれない?」



お母さんと千瀬ママが、そんなことを言い出したのは。

ご丁寧に千瀬まで呼び出しちゃって。



「土日ふたりでって……

毎週っていうか毎日一緒にいるから関係ないんだけど」



うんうん、と。

同意するようにうなずけば、そうじゃないのよと諭される。




「このあいだ、年末よりひと足早く商店街でガラガラ抽選会やってたのよ。

そしたらね、なんと1等当てちゃいまして」



「……え、なに当てたの?」



「1泊2日の温泉旅行。熱海でーす」



じゃじゃーん!と効果音でも鳴りそうなテンションで景品を見せてくるお母さん。

旅行会社SECって書いてあるんですけど。……当てるも何も、もとからうちの会社なんですけど。



……ん? あれ、まって?

なんでだろう。嫌な予感がする。



「……まさか、

それ行くから莉胡とふたりで過ごせってこと?」



──あ、と。

千瀬のセリフで、嫌な予感という名の違和感に合点がいく。……いや、まさか、ですよね?



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