私のご主人様Ⅱ

部屋にたどり着いてノックをすると、入れという声が聞こえて、中に入る。

やっぱりというか、季龍さんはパソコンに向かっていて、入ってきた私に視線を向けることもない。

無礼講の旅行でも、お仕事はしないといけないのかな。

そんなことを思いながら季龍さんが座っているデスクに近づいて、邪魔にならないかつ、すぐ手に取れる位置にコースターを敷き、コーヒーを置く。

ガムシロップとミルクも近くに置いて下がると、季龍さんの視線が私に向いていて思わずドキリとする。

「悪かったな」

「!?フルフル」

謝られることじゃない。そもそも家事をするためにいるはずなのに、こんなにも休ませてもらってる。私の方が謝らなければいけないのに。

「…暇ならそこの本を読んでいてもいい」

チラッと視線が向けられた先には、洋書らしき本が数冊重ねてあった。

誘惑に負けそうになる。み、見てみたい。でもお仕事の邪魔に…。じーっと見つめながら悩む。
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