私のご主人様Ⅱ

「何よ、あの女!!」

「季龍くんいやぁぁああ!!」

あちこちから上がる悲鳴やら罵声やらに耳が痛くなる。そして、何となく分かった。

私はどこへ行っても面倒なことに巻き込まれる運命にあるらしい。

だってこれ、あれでしょ?学校の王子様的な。季龍さんはそんなタイプではないと思ってたけど、顔がよければ王子様になれる可能性はあるらしい。

ついでに、女子の群れの向こうには大きな校舎があって、校門には『私立西海高等学校』と書かれていた。

本当に学校に来たんだ。あれほど憧れていた普通の学校に。嬉しいはずなのに、突然過ぎて素直に喜べなかった。

あと、この女子の群れのせいで。

「それじゃ、いってらー」

こっそりため息をついていると、のんきな声と共に伸洋さんは颯爽と去っていく。

って、伸洋さん嫌だよ~。ここに置いていかないでー、連れっててー。

そんなことを思っていても、伸洋さんが止まるわけなくて、泣く泣く見送った。

あれ、こんな目の前に止めていいの?と今さら思うけど、今さら過ぎてどうにもならない。
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