旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



「男女が同じ屋根の下で暮らして、色っぽいことのひとつもないって!悲しくないの!?」

「い、いや、でも私はただの嫁のフリだし、寧ろ玲央さんは手当たり次第手出しするタイプでもないだろうし」

「とはいえ異性よ!?そう意識されないくらい、杏璃には女としての魅力がないってこと」



うっ……。

たしかに、女性としてというよりはノワールと同じ括りで扱われている気がする。

そう思うと、玲央さんが私の頭を撫でる姿とノワールの頭を撫でる姿が重なってしまう。



「ていうか前から思ってたけど、杏璃見た目は悪くないんだから、もっと本気で彼氏作ってみなよ」



呆れたように言う結花に、私は眉間にシワを寄せて嫌がった。



「えー……いいよ。彼氏とか作ると我慢すること増えるし。ストレス溜まるし」

「あんたはちょっと我慢すること覚えな!それにそんな食べ方してると、そのうち体もおかしくするよ!」

「私はそのうちのことを考えるより今をおいしく生きたいの!」



言い張り「ふんっ」とお皿の上のチキンをぱくっと食べる。そんな私を見て結花は少し考えてから思い出したように言った。



「あ、そうだ。ちょうど彼氏の先輩が彼女募集してるらしくてさ!せっかくだし紹介してあげよっか」

「結花の彼氏の、友達?」

「聞いた話イケメンだしお金持ちらしいし、いいと思うよ?それに嫁のフリなんて変な仕事するくらいなら、本当に誰かと結婚して専業主婦にでもなればいいでしょ!」



ま、まぁ確かに……結花の言うことにも一理ある。

けどどうせ一緒に食事に行けば、引かれるのは目に見えている。



……玲央さんだったら、笑って受け入れてくれるんだろうけど。



『世界で一番、かわいいよ』



以前彼がくれたその言葉を思い出すと、ドキ、と鳴る胸。

その感情に、食事がまた喉を通らなくなってしまう。






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