旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



「あ、でも私、パーティに着ていくような服なんてありませんけど」

「だろうな、知ってる」



って、どういう意味!

玲央さんはフンと鼻で笑うと、脱いだジャケットをバサッと私にかけた。



「私服で待ってていい。16時にここまで檜山が迎えに来るから、あとは檜山に従え」

「え?あ……はい」



し、私服でいいの?

思ったよりカジュアルなパーティーなのかな?



そう考えながら、私はかけられたジャケットを手に取りそっとハンガーにかける。

そんな私に、玲央さんはネクタイをほどきながら視線を留めた。



「それにしても、ずいぶん嫁が板についてきたな」

「……不服です」

「そうかそうか、不服だろうが働かなきゃいけないのはつらいなぁ」



哀れむような言葉遣いでけらけらと笑いながら、彼は私の頭をぽん、と軽く撫で一度自室に戻るべくリビングを出て行く。



またそういう嫌味な言い方をしていく……けど、反論できないのがまた悔しい。

だけど、この家にいることに慣れてきたのも、楽しいと思えていることも、事実。

それを言うのもまた悔しいから言わないけどさ。



撫でられた頭をさすり、彼の手の感触を確かめた。





< 96 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop