Even if ...【短編小説】
古ぼけた鉛



社会人5年目を迎えすっかり社会の荒波に揉まれ切った私は、
仕事終わりにバーでお酒を飲むことだけが唯一の楽しみと化していた。


今日は珍しく早く仕事が終わったので、
新しいお店を開拓しようと途中下車してふらふら歩いていた。

フィーリングで良さそうだと思ったお店に入ってみると、
ジャズがBGMで流れていてとても落ち着いた雰囲気のバーだった。


アルコールが回って悪態をついたり暴れたりなどする変な客もいなく、
一安心しながら私はカウンター席に座って注文をした。

最初の一杯はジントニックといつも決めている。
そのお店の方向付けが分かるからだ。


……というのもあるし、
初めてバーに入った時に最初に飲んだのがジントニックだから、という理由もあったり。
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