社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「えっ?それ冗談でしょ?」


「冗談じゃない。」



健人さんがワインを飲む。その姿に私もワインを口に含む。



「俺は一緒に暮らしたい。」


「…………。」


「花菜は嫌?」


「…………。」



ふと昼間の藤村の言葉が脳裏を横切る。



『別れるのは突然だから。喧嘩とか別れる時に大変だぞ。』



別れ――――



この言葉がいつかは現実になる気がしている。



それは――――



『健人は二ノ宮グループの御曹司だ。普通に結婚とか出来ないんじゃない?』



以前、長谷川さんが言っていた言葉だ。


先の見えない健人さんとの付き合い。でも私も若いし、結婚とか現実味が全然ない。


だから今は………健人さんと一緒にいるのが嬉しいし、楽しいから付き合っている。


別れが現実になるとわかっていて同棲とかはあり得ない。


健人さんとは結婚なんて望めないだろうから。



「………な、花菜?」



健人さんの呼び掛けに我に返る。
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