社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
自由席に乗り込み、長野さんの隣に座る。


長野さんは早速スマホを取り出している。



「長野さんって彼女います?」


「気になる?」


「………なりませんけど………。」


「いるよ。」



スマホを見ながら普通に答える長野さんに反応できない。


静かな車内に目を閉じた。吸い込まれるように眠りに落ちていくのが分かる。


昨日は仕事で夜も遅くなっていたし、朝も早くから準備したし………健人さんが抱き締めて離さないから大変だった。






「………ね、……みね、長嶺。」



目をパチリと開けた。



「もうすぐだ。」



見上げれば長野さんの顔がある。


どうやら長野さんに凭れていたみたいだ。慌てて体を起こして謝った。



「す、す、すみません。」


「いいよ、別に。想像つくし。」


「…………。」



頬が一気に染まっていく。



「用意して降りるから。」


「あっ、はい。すみません。」



長野さんがクスクスと笑いながら立ち上がる。私も急いで立ち上がり移動を始めた。
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