社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編

会えない日々~健人side~

「長野、長嶺は大丈夫か?」



朝一、花菜のプロジェクトを訪れ、長野に声を掛けた。驚いた表情の長野に長嶺のデスクに腰掛けた。







昨夜、メッセージを送ったが、返信どころか既読にもならない。


花菜とは朝玄関で別れてから会う事も見る事もなかった。


付き合い始めて一度もなかった。日中に顔を見ない事なんて。


一人で帰宅するが、静まり返る部屋に淋しさが募っていく。


先週は平日もずっと花菜と一緒に暮らした。今朝まで花菜がこの部屋で暮らしていた。


一人の部屋で寛ぐ。チラリと隣を見たが花菜はいない。


急激に淋しさが襲う。


以前は一人で暮らすのが当たり前。花菜と付き合ってからも平日は一人で暮らしていた。



「花菜。」



ソファーに凭れて名前を呼ぶが返事はない。


気持ちを切り替える為にシャワーを浴びに向かった。


所々に残る花菜の気配。


お揃いの歯ブラシ、クリーム………。まだ少いが花菜の気配を感じる。



「花菜。」



自然と漏れる言葉に花菜を抱き締めたくなる。
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