社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編

二ノ宮家

健人さんに連れて来られた場所に目を見開いた。


ガレージも広く、庭も綺麗に手入れされており、豪邸がドーンと建っている。



「ここ?」


「俺の実家。親父とお袋にも連絡しておいた。」


「いやいや、やっぱり不釣り合い………。」


「行くぞ。」



私の言葉は無視され、手を引かれて豪邸に入っていく。


玄関でお手伝いさんがお出迎えをしてくれていた。



「健人さん、リビングでお待ちになっております。」


「ありがとう。長嶺花菜さん、覚えておいて。」



私に笑みを見せる優しそうなお手伝いさんにすこしだけホッとした。


健人さんに手を引かれ、目的の場所を目指して歩いていく。



「健人さん、健人さん。」


「何?」


「やっぱり………。」


「遅い。もう決めたから。」


「でも、でも。」


「ほら、行くぞ。いい?」


「待っ………。」



私の返事は健人さんの扉を開ける音に掻き消された。
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